- 資格のチラシで教育訓練給付の文字を見たけど私は使えるの?
- 結局どのくらいお得なんだろう?
聞いたことはあるけどいまいちよくわからないという人、多いです。
ここでは「特定一般教育訓練給付」について解説していきます。
具体的には
- 特定一般教育訓練給付金とは
- 対象講座は
- 対象者やもらえる金額
- お金がもらえるまでの流れ
- デメリットや注意点
このあたりをしっかり解説していきます。
この記事を読めば、特定一般教育訓練給付金を人に説明できるレベルで理解することができます。
また、特定一般教育訓練給付金は
- 使った方がいいのか
- 使わない方がいいのか
を適正に判断できるようになります。
こよおじ(雇用保険おじさん)
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教育訓給付金の種類は3種類
前提として教育訓給付には3種類あります。
- 専門実践教育訓給付
- 特定一般教育訓給付
- 一般教育訓給付
この記事はこの中の「特定一般教育訓給付」についてのお話です。
特定一般教育訓給付は
・簡単に受けられる
・そこそこ給付率が高い
そんな給付です。
専門実践教育訓給付や、一般教育訓給付について知りたい人は下の記事をご覧ください。
特定一般教育訓練給付金とは?
あなたが何かを学び、資格を取りたいとします。
学校に入ったり、通信教育を受けたりすると受講料などのお金がかかりますよね。
対象となった講座を受けたとき、かかったお金の一部を国が補助してくれます。
この補助のことを「特定一般教育訓練給付金」といいます。
特定一般教育訓練給付の対象講座は?
特定一般教育訓練給付の対象講座を検索システムで全て調べてみました。
主な対象講座はこんなものがあります。
医療・社会福祉・保健衛生関係の資格や講座
- 介護職員初任者研修
- 介護支援専門員実務者研修
- 主任介護支援専門員研修
- 特定行為研修
- 咳痰吸引等研修
- 福祉用具専門相談員
- 社会福祉士
- 保育士
などの講座があります。
これらの資格は一般教育訓練給付にも対応しています。
しかし、どうせなら給付率のいい特定一般教育訓練給付からまず探してみるといいでしょう。
また、社会福祉士や保育士は専門実践教育訓給付にも対象講座があります。
受けれる人は特定一般教育訓給付ではなく、「専門実践教育訓練給付」の対象講座を受けるがいいでしょう。
輸送・機械運転関係の資格や講座
- 大型自動車第一種・第二種免許
- 中型自動車第一種免許
- 大型特殊自動車免許
- 準中型自動車第一種免許
- 普通自動車第二種免許
- けん引免許
これらの資格は一般教育訓給付にも多く対応しています。
しかし、どうせなら給付率のいい特定一般教育訓練給付からまず探してみるといいでしょう
お近くに特定一般教育訓練給付に対応している学校がないか探してみると良いでしょう。
情報関係の資格や講座
- 基本情報処理技術者(C言語)
- 基本情報処理技術者(JAVA)
の対応講座がありました。
特定一般教育訓練給付では対象講座がかなり少ないです。
一般教育訓練給付の方から探すと良いでしょう。
専門的サービス関係の資格や講座
- 社会保険労務士
- 税理士
の対応講座がありました。
これら資格は一般教育訓給付にも多く対応しています。
しかし、どうせなら給付率のいい特定一般教育訓練給付からまず探してみるといいでしょう。
こうしてみると制度を跨いでいる講座が意外にも多いことがわかるわ。
短時間のキャリア形成促進プログラム及び職業実践力育成プログラム
これは聞いただけではなんのことかさっぱりわかりません。
調べてみたところ、各大学がユニークなプログラムを実施しているようです。
- デザイン×ビジネスの先端の知識とデザインを生み出す具体的な経験を通じ、戦略性と感性を同時に持つハイブリッド人材を育成する(多摩美術大学)
- 人や組織の活動を情報システムとして企画、実現、活用、維持継続できる情報システムアーキテクトの育成を目指すプログラム(青山学院大学大学院)
- 企業内において新規事業プロジェクトを自律的に立案、推進するプロジェクト・マネージャーとしの専門的な知識、能力(事業構想大学院大学)
- 学びと社会を繋ぐ実践知・学術知往還及び学習成果のエビデンスに基づく教育改革を先導する「教育イノベーター」としての変革力を身につける(東北大学)
など、一言で言い表せないような講座があるようです。
かなりニッチな分野もあり、ささる人にはピンポイントでささる講座と言えるでしょう。
講座は、教育訓練給付制度検索システムで検索できます。
自分に合う講座を探してみましょう。
特定一般教育訓練給付金はどんな人がもらえるの?|対象者について
国が認めた講座を受けた人全員が補助してもらえるわけではありません。
ここでは、どんな人がもらえるかを、
- 初めてもらう人
- もらったことがある人
の2パターンに分けて解説します。
❶ 初めてもらう人 |教育訓練給付制度を初めて使う人
初めてもらう人の条件は、
・受講開始日の時点で、雇用保険を1年以上かけていること
(ただし仕事を辞めた人は、辞めてから1年以内に受講を開始しなければいけません)
これだけです。
転職をしても歴は通算されます。
例えば、
- A社で6ヶ月
- B社に6ヶ月
働けば、通算1年以上になり、条件を満たします。
転職の時に失業給付を受けたかどうかは関係ありません。
ただし、A社とB社の間が1年以上空いてしまうと通算ができません。
このように条件的にはかなり緩いので、初めての場合は、多くの人が使える制度です。
不安な人はハローワークに行けば調べてもらえます。
休みが取れずハローワークに行けない方は郵送で確認することもできますよ。
書類の書き方や注意点は下の記事で確認してください。
❷ もらったことがある人|教育訓練給付制度を使ったことがある人
使うのが2回目以降の人は、条件がかなり厳しくなります。
- 受講開始日の時点で、雇用保険を3年以上かけていること
- 前回のお金をもらってから、3年以上過ぎていること
少し表現がわかりにくいので、かみ砕くと
- 一回使ったのなら、受講開始日からまた新たに3年間は雇用保険をかけてくださいね!
- 受講が終わって、支給されてからも3年間あけてくださいね!
となります。
教育訓練給付制度は、2回目以降の人には急に厳しくなるのです。
特定一般教育訓練給付金のもらえる額は?|支給額について
いくらもらえるかは、講座の値段によって変わりますが、
- 講座の値段×40%
という計算式になります。
高い講座を受ければたくさん補助してもらえます。
ただし、上限は20万円となります。
50万円以上の講座を受けても20万円以上はもらえません。
また、計算した結果、
4千円以下になった場合はもらえません。
通常はありえませんが、会社から補助金が出た場合は可能性があるでしょう。
厚労省の統計によると、令和2年度の平均支給額は約6万7千円です。
参考:第158回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会より
ということは、17万円くらいの講座で使う人が多いんですね。
特定一般教育訓練給付金がもらえるまでの流れ|支給までの流れ
同じ資格が取れたとしても、講座の金額は学校によって大きく違います。
興味のある学校に実際に行ってみたり、資料の請求などをして妥協なく決めましょう。
専門実践教育訓練給付を受けるには事前にキャリアコンサルティングを受けていることが必要です。
いくら対象講座であったとしても、キャリアコンサルティングを受けなければ対象になりません。
ここは本当に要注意です。
キャリアコンサルティングの予約方法は様々ですので、管轄のハローワークで確認しましょう。
キャリアコンサルティングを受けると申し込みに必要なジョブカードがもらえます。
学校に申し込み、お金を払います。
学校からもらえる「領収書」や「クレジット契約証明書」は、申請する時に必要なので、必ず取っておきましょう。
STEP2、3は順不同ですが、キャリアコンサルティングでまた違った自分が見えてくることもあるので、STEP2を先にすることをお勧めします。
申し込み書類をあなたの住所地のハローワークに提出します。
受講開始1ヶ月前までに済ませておくことを推奨します。
頑張ってください。
受講を適正に終了すれば、学校から「教育訓練支給申請書」と「教育訓練終了証明書」がもらえます。
- 受給資格確認通知書
- 教育訓練支給申請書
- 領収証やクレジット契約証明書
- 教育訓練終了証明書
を、あなたの住所地のハローワークに提出します。
申請書に記入した口座に振り込まれます。
特定一般教育訓練給付金を使う上での注意点や補足
ここまで、特定一般教育訓練給付金の制度について説明してきました。
この制度を使って人生を変える!そう決意された方もいると思います。
特定一般教育訓練給付はお得な制度です。
適正に使えば転職やスキルアップに心強い味方となってくれます。
ただ、ちょっと待ってください。
この制度を使わない方がいい人もいますので、そこを補足していきます。
特定一般教育訓練給付金を使わない方がいい人は?
専門実践教育訓給付を将来使う可能性がある人は今回使うかどうかを慎重に検討しましょう。
理由は、教育訓練給付の制度は1度使えば少なくとも3年間は使えないからです。
- 専門実践教育訓練給付金 [受講費用の70%](年間上限56万・最長4年)
- 特定一般教育訓練給付金 [受講費用の40%](上限20万)
特定一般教育訓給付も受講費用の40%と決して低くはないのですが、専門実践教育訓給付と比べるとどうしても見劣りします。
例えば特定一般教育訓練給付金を使い、今回20万円の講座を受講し、8万円の補助を受けたとしましょう。
もちろん、めちゃくちゃお得です。
ですが、それによって今後少なくとも3年間は専門実践教育訓練給付が使えなくなります。
専門実践教育訓練給付金の対象講座は受講料が300万を超えるものもあります。
そういった講座を受けたいときに、制度を使えないのは後悔しきれません。
ですので、専門実践教育訓給付対象の資格を取る予定がないことを確信してから、特定一般教育訓練給付金を使いましょう。
制度をまたぐ資格もある
例えば、社会保険労務士試験は、
- 一般教育訓練給付
- 特定一般教育訓練給付
両方に対応講座があります。
社会保険労務士試験は一例で、他にもこのようなケースはたくさんあります。
両方の制度に対応しているなら、一般教育訓練給付ではなく、給付率の高い「特定一般教育訓練」を利用した方がいいのでは?と私は思ってしまいました。
ですので、講座を探す時は、
という順番で見ていくと良いでしょう。
特定一般教育訓給付の対象講座は少なめ
特定一般教育訓給付は2019年から始まった制度で、まだ対応している講座が少ないのが難点です。
ただし、一般教育訓給付より給付率がいいため、今後は学校側も対象講座を増やしていくのではないかと予想します。
特定一般教育訓練給付金を受けると会社にバレるのか?
バレません。
気にせずに使いましょう。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
特定一般教育訓練給付金の支給申請書の提出が遅れた場合は?
教育訓練給付金支給申請書の提出期限は、原則として「受講終了の翌日から1ヶ月」です。
しかし、なんらかの事情で提出が遅れた場合はハローワークに相談しましょう。
2年以内なら受け付けてもらえます。
詳しく知りたい人はリンクを貼っておくので確認してください。
<厚生労働省HPより>
ただし、この規定で救われるのは、適正に手続きをしていたのに「申請書の提出が遅れた場合」です。
支給に必要な「事前のキャリアカウンセリング」を受けていない場合、それを取り戻すことはできません。
受講が始まった後にこの制度を知った人を救う規定ではありません。
特定一般教育訓練給付金に税金はかかる?
かかりません。
非課税ですので、安心して受給しましょう。
根拠が知りたい人は下の記事を読んでください。
まとめ
特定一般教育訓練給付金は対象講座こそ少ないものの、給付率もそこそこ高く、スキルアップの強い味方です。
初回利用は条件も緩いので、比較的簡単に使えるのも良い点です。
しかし、2回目以降は一気に使うのが難しくなります。
専門実践教育訓給付を今後受けたい場合は、次の資格のために使わず取っておく選択もありです。
の順に探していきましょう。
専門実践教育訓給付を使いたいのに使えないという状況だけは避けたいです。