離職はスキルアップのチャンス!
長年勤めた会社を辞めた。
今のスキルを活かした再就職もいいけど、別の道も考えてみたい。
離職は学び直しのチャンスとも言えます。
学び直す場合は、職業訓練校に行くことも選択肢に上がります。
職業訓練校っていうのがあるのね。
訓練期間中ってお金をもらえるのかしら。
確かに疑問です。
職業訓練校と言っても短いものは1ヶ月程度から長いものでは2年に及ぶものもあります。
何が学べるかは大事です。
でも、
訓練期間中にお金がもらえるのか。
これも訓練受講を検討する上で、とても重要なポイントになるでしょう。
この記事を読めば、あなたが職業訓練校に通う間、お金がもらえるのかがわかります。
こよおじ(雇用保険おじさん)
- 公務員 → 社会保険労務士
- 雇用保険関係実務10年以上
- X(@koyooji)で100件以上の質問に回答
- メインブログ:教育訓練給付・職業訓練受けたら本気だす
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雇用保険を受給中の人が職業訓練校に行く場合、給付金がもらえるのか?
雇用保険受給者が職業訓練校に行く場合、
- 給付金がもらえる人
- 給付金がもらえない人
どちらもありえます。
「どちらもありえます」ってどういうことですか?
そんなんじゃ困るんですけど・・・
ですよね。
では、その違いについて解説していきます。
「受講指示」で職業訓練校に行く人は、訓練期間中、給付金がもらえる。
「受講指示」という形で、職業訓練校に行く人は、訓練期間中、ずっと給付金がもらえます。
「受講指示」を簡単に言うと、
〇〇さん、スキルアップのために職業訓練校に行ってください。
その間、訓練に集中できるように、お金を出しますよ。
と、ハローワークからされる指示です。
どうすれば受講指示されるのか?
職業訓練校に行く「前日」に、
失業給付の残り日数が「一定以上」ある人が「受講指示」の対象になります。
その基準が以下の通りです。
失業給付の 所定給付日数 | 必要な残日数 (給付制限のある人) | 必要な残日数 (給付制限のない人) |
---|---|---|
90日 | 31日 | 1日 |
120日 | 31日 | 1日 |
150日 | 51日 | 31日 |
180日 | ー | 61日 |
210日 | ー | 71日 |
240日 | ー | 91日 |
270日 | ー | 121日 |
300日 | ー | 151日 |
330日 | ー | 181日 |
簡単に言うと、
- 失業給付を受給する場合は、なるべく早く職業訓練に行く決断をしてください。
- 職業訓練校に入る前に、ある程度は失業給付を残しておいてください。
- 失業給付を使いすぎた人(使い終わった人)はダメです。
ということです。
よって、雇用保険を受給する人が職業訓練校に行くかどうかを決める場合は、
- 就職か
- 訓練か
をある程度の時期までに決める必要があります。
半年、1年、2年と期間の長い職業訓練もあります。
長期間の訓練であれば尚のこと、お金がもらえるかどうかは非常に大事なポイントとなります。
- いつから訓練が始まるのか?
- 訓練が始まる前日に失業給付の残り日数は何日になっているのか?
ここを事前にきちんと確認しておき、職業訓練校には「受講指示」で行けるようにしましょう。
なお、どんな手当が出て、どれくらいもらえるのかについては、こちらの記事をご覧ください。
受講指示されなかった場合は?
「受講指示」と言う形態で職業訓練校に行くことができれば、訓練期間中にお金がもらえることがわかりました。
では、受講指示されなかった場合はどうなるのでしょうか?
その場合を解説します。
「受講推薦」で職業訓練校に行く人は、訓練期間中、給付金がもらえない。
「受講指示」されずに職業訓練校に行く場合は、
「受講推薦」と言う形式になります。
〇〇さん、訓練期間中のお金は出ませんが、
スキルアップのために職業訓練校に行くことを推薦します。
簡単に言うとこんな感じです。
職業訓練校に行く前日、給付の残り日数が足りなかった場合は、
職業訓練校に行くことは出来ますが、訓練期間中の給付金は出ない
というパターンになります。
「受講推薦」は、
- 訓練期間中にお金が入ってこないこと
- 1年、2年の訓練は受講料がかかるものもある
ことから、長い期間の訓練には向いていません。
ですが、生活に余裕のある人や、数ヶ月といった短い期間の訓練なら「受講推薦」で職業訓練校に行くことも選択肢に入れてもいいでしょう。
「受講指示」が出ない人への補助はないのか?
「受講指示」が出ない場合は、長い期間の職業訓練校は諦めないといけないのでしょうか?
もちろん、生活に余裕があれば行けるんでしょうけど、1年も2年も貯金があるわけじゃないし・・・
そういった人には一定の条件で「職業訓練受講給付金」が受けられる求職者支援制度があります。
「職業訓練受講給付金」とは?
月10万円と通所手当(上限42,500円)がもらえます。
※(通所手当とは、通学のための電車代、バス代など)
ただし、「職業訓練受講給付金」は、全員がもらえるわけではありません。
条件があります。
「職業訓練受講給付金」をもらうための条件とは?
- 失業保険がない、または、失業給付の残り日数が少なく、「受講指示」が受けれなかった人
- 毎月入ってくる収入が少ない人
- 貯金が少ない人
- その他
大きく分けて、この3つの条件+その他になります。
それでは、一つ一つ、詳しく見ていきましょう。
1:失業給付がない、または、失業給付の残り日数が少なく、「受講指示」が受けれなかった人
「受講指示」を受けれた人は職業訓練期間中は失業給付が延長されるため、自分の失業給付を受け続けることができます。
「職業訓練受講給付金」が重ねて支給されることはありません。
自分の失業給付の額がたとえ月10万円より低かったとしても、「受講給付金」が支給されることはありません。
2:毎月入ってくる収入が少ない人
自分、または世帯の収入が一定以下である必要があります。
具体的には、
- 自分:月8万円以下の収入(税引き前)
- 世帯合計:月30万円以下の収入(税引き前)
が、基準となっています。
これより収入が多い人は対象にならないので、「受講指示」が得られない場合は、お金が貰えません。
3:貯金が少ない人
貯金や、資産をたくさん持っている人は対象になりません。
具体的には、
- 世帯の金融資産:300万円以下
- 世帯の土地、建物:今住んでいる所以外は持っていないこと
が、基準となっています。
4:その他
メジャーな条件は上の3つですが、
- 過去に不正した人には支給されません。
- 過去に「職業訓練受講給付金」を受けた人は6年間あけないと支給されません。
- 世帯が同時に「職業訓練受講給付金」を受けることはできません。
- 真面目に訓練を受講しない人には支給されません。
みたいな規定もありますが、あまり気にする条件はないでしょう。
「職業訓練受講給付金」は毎月もらえるとは限らない。
「職業訓練受講給付金」は毎月の収入が少なく、貯金も少ない人を対象に、1ヶ月ごとに支給されます。
ということは、
収入が増えた月はもらえない、ということです。
- 家族の残業が多かった
- 家族にボーナスが入った
などで世帯収入が月30万円を超えれば、その月は「職業訓練受講給付金」は入りません。
「受講指示」だろうと「受講推薦」だろうと、必要ない訓練は受けれない。
訓練で学べるスキルを既に持っているなど、訓練に行く必要がないケースは、「受講指示」も「受講推薦」もされません。
簡単にいうと、訓練はなんでもよく、お金だけ欲しいというような受講は認められないということです。
まとめ
離職はスキルアップのチャンスとも言えます。
再就職と共に、職業訓練校でのスキルアップも検討しましょう。
「受講指示」で職業訓練校に行く場合は、訓練期間中に給付がもらえます。
「受講推薦」で職業訓練校に行く場合は、訓練期間中の給付はありません。
つまり、なるべく「受講指示」で職業訓練校に行く方がいいです。
「受講指示」の対象は、職業訓練校に行く前日に、失業給付の残り日数が「一定以上」ある人です。
雇用保険受給者の人は、自分の給付日数を把握した上で、訓練の計画を立てましょう。
貯金や収入が少なく、「受講推薦」で訓練に通うことが困難な人には、「職業訓練受講給付金」が出る場合があります。