この記事は、2023年4月1日からの改正に対応しています。これから求職者支援制度を受けてみたいという方はぜひご覧ください。
こよおじ(雇用保険おじさん)
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求職者支援制度とは?
※求職者支援制度のご案内(厚生労働省リーフレットより)
- 求職者の方が、
- (該当者)月10万円を受給しながら、
- 無料の職業訓練を受けて、
- スキルアップし、
- 新たな自分で再就職する。
簡単にいうとそんな制度です。
求職者支援制度の対象者について
①「無料の職業訓練」と②「就職サポート」は切り離せません。
①と②の支援を受けた上で、該当者には③もあるというイメージです。
「無料の職業訓練」+「就職サポート」の対象者は?
- ハローワークに求職申し込みをしている人
- 労働の意志と能力があること
- 週20時間以上で働いている人、雇用保険を受給している人ではないこと
- 職業訓練に行く必要があるとハローワークが認めたこと
それでは一つ一つ、詳しく見ていきましょう。
1:ハローワークに求職申し込みをしている人
説明不要かもしれませんが、まず、ハローワークに求職登録してください。
2:労働の意志と能力があること
仕事を探しており、いい仕事があればすぐに働ける状態にある人が対象です。
逆にいうと、病気やケガですぐに働けないなどの事情があれば対象外です。
3:週20時間以上で働いている人、雇用保険を受給している人ではないこと
週20時間以上で働いている人は、就職状態であると判断され対象から外れます。(この制度は主に離職者や、週20時間未満で働く在職者を対象としているため。)
また、離職中であっても、雇用保険を受給できる人は、求職者支援制度の対象からは外れます。(雇用保険を受給できる人は他の支援があるため。)
4:職業訓練に行く必要があるとハローワークが認めたこと
職業訓練を受けスキルアップすれば、希望の職種につける可能性があるとハローワークが認める必要があります。
例えば、
- すでに高いPCスキルを持っている人が、PCを学ぶ訓練に行く
- 未経験から介護職を目指す人が、WEBデザインの訓練に行く
などは認められない可能性が高いです。
以上が、「無料の職業訓練」「就職サポート」を受けるための条件です。
以上を満たす人のうち、一部の方が「月10万円給付金」を受けることができます。
「月10万円給付金」職業訓練受講給付金の対象者は?
- 毎月入ってくる収入が少ない人
- 貯金が少ない人
- その他の細かな条件
特に大切なのは1、2の条件です。
1:毎月入ってくる収入が少ない人
具体的には、
- 自分:月8万円以下の収入(税引き前)
- 世帯収入:月30万円以下の収入(税引き前)
が、基準となっています。
世帯収入とは、「自分」を含む「配偶者」「子」「父母」です。
同居はもちろん、別居でも生計を一つにすれば計算に含めます。
収入には給与(賞与)、事業収入だけではなく、年金収入なども入ります。
この基準よりも収入が多い人は対象になりません。
2:貯金が少ない人
具体的には、
- 世帯の金融資産:300万円以下
- 世帯の土地、建物:今住んでいる所「以外」は持っていないこと
が、基準となっています。
3:その他
メジャーな条件は上の3つですが、
- 過去に不正した人には支給されません。
- 過去に「職業訓練受講給付金」を受けた人は6年間あけないと支給されません。
- 世帯が同時に「職業訓練受講給付金」を受けることはできません。
- 真面目に訓練を受講しない人には支給されません。
みたいな規定もありますが、あまり気にする条件はないでしょう。
「月10万円給付金」職業訓練受講給付金とは?
- 職業訓練受講手当:月10万円
- 通所手当:学校へ通う電車代、バス代など(月42,500円上限)
- 寄宿手当:月10,700円
それでは一つ一つ掘り下げて見ていきましょう。
1:職業訓練受講手当
職業訓練の開始日から「1ヶ月ごとに区切った期間」で支給申請します。
指定来所日という決められた日にハローワークに行き、支給申請と職業相談を行います。
(例)4月7日から7月6日までの訓練(※日付は適当です)
1回目(4月7日〜5月6日分)の支給申請、職業相談を行います。
2回目(5月7日〜6月6日分)の支給申請、職業相談を行います。
3回目(6月7日〜7月6日分)の支給申請、職業相談を行います。
指定来所日に支給申請を行いますが、当日即お金が貰えるわけではなく、支給まで1〜2週間程度はかかります。
2:通所手当
1ヶ月の定期があれば定期代、なければ回数券21回分となります。
月額42,500円が上限です。
当然、常識的な経路で通う必要があり、わざと遠回りをするような経路は認定されません。
自宅から訓練施設までの距離が片道2キロ未満の場合は、よほど特別な理由がない限りは支給されません。
逆にいうと、片道2キロ以上あれば、自転車や自動車でも距離に応じて支給されます。(※徒歩では支給されません。)
距離 | 通所手当 |
---|---|
2キロ未満 | なし |
2キロ以上 10キロ未満 | 3,690円 |
10キロ以上 | 5,850円 |
15キロ以上 (かつ、指定地域) | 8,010円 |
指定地域は以下の厚労省リンクで確認してください。
リンク先に載っている「以外の地域」が指定地域です。
職業訓練受講手当と同様、支給単位期間ごとに申請し、支給されます。
3:寄宿手当
ただし、支給要件はかなり限定的で、
- 自宅から学校に通うと、往復で4時間以上かかってしまう
- 公共交通機関の始発・終電が学校のスケジュールに全くかみ合わない
といった理由が必要です。
職業訓練受講手当、通所手当と同様、支給単位期間ごとに申請し、支給されます。
厚労省の公表データによると、寄宿手当はほとんど利用されていません。
「月10万円給付金」職業訓練受講給付金は毎月もらえるとは限らない。
「職業訓練受講給付金」は、毎月の収入が少なく、貯金も少ない人を対象に、1ヶ月ごとに支給されます。
ということは、
収入が増えた月はもらえない、ということです。
- 家族の残業が多かった
- 家族にボーナスが入った
などで世帯収入が月30万円を超えれば、その月は「職業訓練受講給付金」は入りません。
ほぼ毎月該当するんだけど、ボーナス月だけは対象を外れる、みたいなことは全然あり得ます。
求職者支援制度で受けれる訓練の種類は?
訓練の種類 | 受講の可否 |
---|---|
公共職業訓練 (施設内) | |
公共職業訓練 (委託) | |
求職者支援訓練 | |
介護労働講習 | ❌ |
それぞれの訓練の特徴、コースなどは、以下の記事に詳しく記載しています。
求職者支援制度の申し込み手続きについて
求職者支援制度を利用したいこと、職業訓練受講給付金を受けたいことなどを相談時に申し出ましょう。
職業相談を通じて「どの訓練を受けて、どんなスキルを身につけ、どんな職種に就きたいか」をはっきりさせていきましょう。具体化してきたらコースに応じた受講申込書など、必要書類を受け取りましょう。
受講申し込みの手続きを行いましょう。月10万円の職業訓練受講給付金を希望する人は事前審査が適宜行われます。(必要書類を元に、世帯収入が30万円以下か、金融資産が300万円以下かなどの確認)
訓練が行われる学校で面接・筆記試験などの選考が行われます。
求職者支援制度は「無料の職業訓練」+「就職サポート」がセットです。
就職支援計画書とは、「就職サポート」の部分にあたります。
具体的には、訓練を受けながら、どういった計画で再就職を目指すかという計画書です。
訓練は休まずに受講しましょう。
理由のない欠席をすると、訓練の種類によっては月10万円の給付が0円になってしまいます。
なお、訓練受講中から(就職が決まってない場合)訓練終了後3ヶ月間、月に1度ハローワークで職業相談を受ける必要があります。
まとめ
求職者支援制度とは、
- 求職者の方が、
- (一部の人は)月10万円を受給しながら、
- 無料の職業訓練を受けて、
- スキルアップし、
- 新たな自分で再就職する。
ことを手助けする制度です。
毎月の収入が少ない方、貯蓄が少ない方には月10万円の職業訓練受講給付金が支給されます。
受講できる訓練の種類は、
- 公共職業訓練(施設内)
- 公共職業訓練(委託)
- 求職者支援訓練
から選ぶことができて、種類も豊富です。
希望する人は、「どの訓練を受けて、どんなスキルを身につけ、どんな職種に就きたいか」をはっきりさせ、ハローワークで申し込みましょう。