こよおじ(雇用保険おじさん)
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お金を貰いながら職業訓練校に通う方法は次の2種類で、
- 受講指示(基本手当)
- 支援指示(月10万円)
があります。
この記事では ❷ の、
求職者支援制度の支援指示(月10万円)により職業訓練校に通う人が学校を休んだらどうなるのか?
を解説します。
この記事は「令和5年4月」からの改正に対応しています。
求職者支援制度の詳細については以下の記事をご覧ください。
支援指示(月10万円)により職業訓練校に通う人が学校を休むとどうなるか?
私用なら1日でも学校を休むと10万円が不支給に
やむを得ない理由の欠席 | 10万円 |
私用による欠席・遅刻(やむを得ない理由以外の欠席・遅刻) | 10万円 → 不支給 |
例えば、寝坊による遅刻は一発で10万円が不支給です。
休みの取り扱いは「支援指示」と「受講指示」の人では明確に違います。
「支援指示」の人は「受講指示」で訓練に通う人と比べて、より真剣に訓練に取り組む必要があると言えます。
やむを得ない理由なら2割は休める
2割までの欠席 | 10万円 |
2割を超える欠席 | 10万円 → 0円 |
支給単位期間とは、以下の表の通り、受講開始日から1ヶ月ごとに区切った単位です。
第1回 支給単位期間 | 4月7日 〜 5月6日 |
第2回 支給単位期間 | 5月7日 〜 6月6日 |
第3回 支給単位期間 | 6月7日 〜 7月6日 |
第4回 支給単位期間 | 7月7日 〜 8月6日 |
10万円は支給単位期間ごとに支給されます。
各支給単位期間の出席率が8割以上あるかをチェックし、支給、不支給が決まるのです。
では、実際に例をみてみましょう。
18日のうち、8割出席すれば10万円支給されます。
必要な出席日数の計算式は 18日 * 0.8 = 14.4日(切り上げで15日) となります。
つまり、例のケースでは、「やむを得ない理由の欠席」が3日までであれば10万円支給されます。
4日休むと出席率8割を下回るので、不支給となります。
※出席率8割の計算方法について、より詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
やむを得ない理由の欠席とは?
事例 | 証明書類 |
---|---|
本人の病気、怪我 | 医師の証明、病院の領収書、処方箋 |
交通機関の遅延 | 遅延証明書 |
面接 | 面接証明書 |
国家試験、検定 | 受験票 |
子や親族の看護、介護 | 医師の証明、病院の領収書、処方箋、介護認定の証明 |
親族の死亡、葬儀など | 死亡の証明、案内状 |
配偶者や親族の命日の法事 | 案内状 |
婚姻、新婚旅行、親族の結婚式、仲人など | 案内状、旅程表 |
子の入学式、卒業式への出席 | 案内状 |
裁判員など法の定めによる出頭 | 通知状 |
指定来所日 | ー |
いかがでしょうか。結構限定的ですよね。
私用で休んでも10万円が不支給にならない人たち
10万円はありがたいけど「支援指示」厳しすぎ。
1日も遅刻、欠席できないなんて、通える自信ないな。
と、受講を躊躇してしまう人もいるかと思います。
実際、厚労省の調査では「支援指示」での受講に繋がらなかった原因として、
「遅刻、欠席をせずに毎日訓練に通い続ける自信がない」と回答した人が約3割にものぼっています。
(職業安定分科会雇用保険部会(第180回)資料より)
そこで「支援指示」での受講をしやすくするように、例外的な規定が設けられました。
それは、
8割以上出席していれば、私用で休んでも10万円を不支給にせず、日割りで減額して支給する。
という規定です。
この規定は、以下の人にだけ適用されます。
- 乳児・幼児・小学校に就学している子を養育する人
- 要介護状態にある対象家族を介護する人
- 求職者支援訓練の(基礎コース)に通う人
の3つです。
では、1つずつ掘り下げていきます。
❶:乳児・幼児・小学校に就学している子を養育する人
例えば、子供がぐずって保育園や学校になかなか行かずに遅刻した場合など、この規定が効いてきます。
本来なら私用の遅刻であり、10万円が不支給になるところです。
しかし、この規定により、不支給ではなく日割りで減額された額が支給されます。
10万円が減額されて9万円が支給されるようなイメージです。
❷:要介護状態にある対象家族を介護する人
要介護状態の判断基準は、
- 要介護2以上
- その他基準(座位保持、歩行、移乗、水分・食事接種、排泄、衣類の着脱など)
があり、❶か❷のどちらかを満たせば認められます。
その他基準は厚生労働省のサイトに詳しく載っていますので、こちらで確認して下さい。
なお対象家族とは、「配偶者」「父母」「子」「配偶者の父母」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」などです。
❸:求職者支援訓練(基礎コース)に通う人
求職者支援指示で受けれる訓練コースは、
- 公共職業訓練(施設内)
- 公共職業訓練(委託)
- 求職者支援訓練(基礎コース)
- 求職者支援訓練(実践コース)
と豊富です。
どの訓練を選んでもいいのですが、
この中で唯一、求職者支援訓練(基礎コース)のみ、私用で学校を休んでも10万円が不支給になりません。
もちろん、私用で休めば10万円から日割りで減額はされます。
でも、10万円が一気に不支給になることを思えば全然いいですよね。
訓練全てに出席する自信がない人は、求職者支援訓練(基礎コース)を選びましょう。
減額されていくら支給されるかは以下の記事をご覧ください。
どんな求職者支援訓練(基礎コース)があるのか検索したい。
検索方法(ハローワークインターネットサービス)
求職者支援訓練を選択。
任意のエリアにチェック。
詳細を入力する画面になります。
「基礎」を選んで決定。
以上で求職者支援訓練(基礎コース)が検索できます。
(クリックで拡大再生できます)
減額の計算式は?
まとめ
支援指示(10万円)で職業訓練を受けるとき、
やむを得ない理由の欠席は減額なしですが、私用で休むと10万円が一気に不支給になります。
支給条件がとても厳しいため、受講を躊躇する人が続出。
そのため、一部の人には条件を緩和し、
私用で休んでも10万円を不支給にせず、日割りで減額する。
という例外規定が作られました。
例外規定はの対象者は、
- 乳児・幼児・小学校に就学している子を養育する人
- 要介護状態にある対象家族を介護する人
- 求職者支援訓練の(基礎コース)に通う人
です。
対象者の方であれば、10万円が一発で不支給になることはありません。
訓練全てに出席する自信がない。
そんな人は、求職者支援訓練(基礎コース)を選びましょう。
基礎コースというのがポイントです。
求職者支援訓練(基礎コース)のみ、私用での欠席が認められています。
もちろん、私用で休めば減額はされますが、一気に不支給にはなりません。
いかなる理由でも開講日の8割以上は出席して下さいね。